2021年10月22日

会話文の省略(3)Afraid so. て何?


皆さん、こんにちは。

今日は、「会話文における省略」について、第3回目(最終回)の記事を書こうと思います。


● プロローグ

私たちは、学校で省略のない完全な文の英語を習うことが多いので、ネイティブとの会話やドラマなどで省略のある文に出会うと、よくわからなかったり、疑問に思ったりすることがありますよね。

そこで、「会話文における省略」というテーマで記事を書き始めたのですが、第1回
会話では同じ言葉の繰り返しを避けるために、すぐ前の文と共通する部分を省略することが多い
ということについて考えました。

そして、前回(第2回)の記事では、「すぐ前の文と共通する部分の省略」について
① 否定の文の繰り返しを避ける not
② 同じ動詞の繰り返しを避ける to
という、よく出てくる2つのパターンを見ました。

今日は、会話文における省略として
文頭の代名詞やbe動詞などが慣用的に省略されることがある
ということについて整理してみようと思います。

今日の目次
① 文頭の代名詞の省略
② 疑問文の Do you や be動詞の省略
③ 文頭の代名詞とbe動詞の両方の省略

【筆者から読者の皆さまへ】

1.今日の記事は長いですから、少しずつ何回かに分けてお読みになることをお勧めします。

2.説明の都合上、本文で取り上げられなかった事柄を【補遺】として、記事の最後に載せております。あわせてお読みいただければ幸いです。


● 文頭の代名詞の省略

それではまず、『24 -TWENTY FOUR-』というアメリカのアクションドラマから、会話を1つ聞いてみましょう。

315 Seems 24 1-13.jpg

お聞きいただくのは、アメリカ大統領の予備選挙に立候補している、アフリカ系アメリカ人の上院議員デイビッド・パーマー(David Palmer)と、彼の支援者との仲介者であるカール(Carl)との間の短いやり取りです。(シーズン1 エピソード13)

では、お聞きください。



いかがでしたか? 二人の会話がお聞き取りになれましたでしょうか?

David : Seems I've been stupid for a long time.
(どうやら私は長い間ばかだったようだ)

Carl : Then open your eyes for once.
(それなら今度ばかりは目を覚ましてください)

と言っていましたね。

(注)for once (せめて)一度だけでも, 今回ばかりは

この会話に出てくる、デービットのセリフの Seems… を聞いて、「えっ? 主語がない!?」と思った方はおられませんか?

そうなんですね、この文では It seems (that)…(…のようだ)の「It」が省略されているのですね。

このように、会話においては、文頭の代名詞が省略されることがあるのですね。

たとえば、ネイティブは日常のくだけた会話の中では

It doesn't matter.(かまわないよ)を

Doesn't matter. と言ったり、

It looks like rain.(雨になりそうだ)を

Looks like rain. のように言ったりします。

また、この文頭の代名詞の省略は「It」に限らず、他の代名詞でも起こります。

次の例を聞いてみましょう。



Beg your pardon? と言ってましたよね。

これはもちろん

I beg your pardon?
(もう一度おっしゃってください)

の「I」を省略した言い方ですね。

このほか、たとえば

He [She] doesn't look too well.
(彼[彼女]はあまり具合がよさそうには見えない)

Doesn't look too well.

と言ったりします。

文頭の省略 ①
会話では、文頭の代名詞が慣用的に省略されることがある


● 疑問文の Do you や be動詞の省略

では次に、疑問文の Do yoube動詞の省略を見てみましょう。

今度もまず、アメリカのドラマ『24 -TWENTY FOUR-』から、短い会話をご紹介したいと思います。

『24 -TWENTY FOUR-』は、アメリカの架空の連邦機関CTU(テロ対策ユニット)ロサンゼルス支局の捜査官ジャック・バウアー(Jack Bauer)のテロとの戦いを描いているアクションドラマですが、お聞きいただくのは、ジャックの誘拐を計画しているテロリストのドレーゼン(Drazen)と彼の手下との会話になります。(シーズン1 エピソード11)

315 Found Bauer 24 1-11.jpg

では、お聞きください。



いかがでしたか?

Drazen : Found Bauer?

Terrorist : No. But we're doing everything possible.


という会話が聞き取れましたでしょうか?

ドレ―ゼンは、手下のテロリストに向かって Found Bauer? と言っていますが、どういう意味かわかりますか?

彼は Did you find Bauer? という文の「Did you」を省略して、Found Bauer? と簡略な言い方をしているのですね。

二人の会話を日本語にしますと

ドレ―ゼン:バウアーを見つけたか?

テロリスト:まだですが、出来るだけのことをやっています

となりますね。

では、もう1つ例を聞いてみましょう。



いかがでしたか?

Know what I mean?

と言っていましたね。

これはもちろん

Do you know what I mean?
(私の言っていることがわかってるの?)

の「Do you」を省略しているのですね。

このように、会話では、疑問文の文頭の Do [Did] you を省略することがあります。

では、ドラマの会話をもう1つ聞いてみましょう。

今度は『ジェシカおばさんの事件簿』(原題:Murder, She Wrote)というアメリカの推理ドラマからです。

315 Anyone with you MSW 4-8.jpg

このドラマの主人公の推理小説作家ジェシカ・フレッチャー(Jessica Fletcher)は、駆け出しのシナリオライターのゲイル(Gayle)とともに、ある殺人事件について警察から事情を聞かれます。二人は警察から容疑者として扱われているようです。(シーズン4 エピソード8)

では、二人の会話を聞いてみましょう。



Gayle : By the way, do you have an alibi for 8:45?
(ところで、8時45分のアリバイはおありですか?)

Jessica : I was soaking in a hot tub.
(浴槽で熱いお湯につかっていましたわ)

Gayle : Anyone with you?
(誰かと一緒でしたか?)

という会話でしたね。

この会話の最後の Anyone with you? というゲイルの質問ですが、完全な文にするとどうなりますか?

そうですね、完全な文は Was anyone with you? ですから、ゲイルは「Was」を省略しているのですね。

このように、会話では、疑問文の最初の be動詞を省略することがあります。

たとえば、ネイティブが Are you okay?You okay? と言ったり、Are you all right? と言わずに You all right? と簡単に言うのを耳にされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

まとめますと

文頭の省略 ②
会話では、疑問文の文頭の Do [Did] you や be動詞が省略されることがある


● 文頭の代名詞とbe動詞の両方の省略

それでは最後に、文頭の代名詞とbe動詞の両方の省略について見てみましょう。

まず例を聞いてみましょう。



二人は

Man : Do you think it will rain tomorrow?

Woman : Afraid so.


と言ってましたね。

この Afraid so. という慣用的な言い方は、I'm afraid so. の「I'm」を省略したものですね。

このように、会話においては、文頭の代名詞とbe動詞がともに省略されることがあります。

もう1つ例を見ましょう。

No wonder he did not know.

この文の意味はわかりますか?

これは It's no wonder that…(…は少しも不思議ではない)という表現の「It's」が省略されたものですね。

そこで、文の意味は

彼が知らなかったのも無理はない

ということですね。

文頭の省略 ③
会話では、文頭の代名詞とbe動詞がともに省略されることがある


● エピローグ

今日は、「会話文における省略」の最終回として、文頭の代名詞やbe動詞の省略についてまとめてみました。

① 文頭の代名詞の省略
② 疑問文の Do yoube動詞の省略
③ 文頭の代名詞とbe動詞の両方の省略

と、いろいろなことが一度に出てきましたので、少しわかりづらかったかもしれませんね。

3回にわたって「会話文における省略」について書いてきましたが、英語における省略は、英文法の研究として一冊の本になるくらいのテーマですので、このささやかなブログで全部を網羅することは到底できません。

それでも、会話文における省略について、よく出てくるものはほとんど取り上げたつもりです。

なかなかすぐには頭に入らなかった方もおられるかもしれませんが、英語の省略に出会って疑問をお持ちになったときに、この3回の記事をもう一度読み返していただけば、理解が深まるのではないかと思います。

皆さんの英語学習の一助になれば幸せです。

このシリーズを最後までお読みくださった読者の皆さまに心よりお礼を申し上げます。

それでは、また。

いやぁー英語って本当に面白いですね!


【補遺】You better go.I got to go. について

① 皆さんがよくご存知の had better ですが、had が軽く発音されるために、You had better go.You better go. となることがよくあります。そしてさらに省略して Better go. という言い方もされます。例:You better go see your wife. (Dallas 1-1)

② 同じように、have got to (=have to) についても、口語では I've got to go.I got to go. となり、I gotta go. と綴られることもあります。例:I got to apologize for my father. (Dallas 1-1)



posted by Mr.スポック at 00:27| Comment(0) | 英語探検記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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